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夢のような祭りは瞬きの間に終わり、気の滅入る寮暮らしに戻って3日。 メリーザ、校舎裏、食べて寝るだけの寮、をぐるぐると回るだけの生活に、目も死んでくるというものだ。 授業の合間の中休み。誰よりも早く寮を出るがために獲得できた窓際の一番後ろの席で、自分の腕を枕にして何もない空を見つめる。 暇すぎる。 …さすがに教室内に一人ぐらいは友達をつくる努力をしてみようか…。 ジルも放課後は独りぼっちの僕と同類のくせに、教室にはそこそこ友人がいるらしい。「俺は人気者だからなあ!」なんてぬかしていた。 影で怖がられてるって教えてやろうか。 ま、そんなこととっくに察してるんだろうけどなあ… 視界いっぱいに広がる雲一つない空。 あ、赤い鳥だあ……わあ… 「、_い、お~い?聞こえてるゥ~?」 外の風景しか映していなかった視界が、ひょいっと現れたヒトの顔で埋められて心臓がヒュンッと縮まる。咄嗟に体を引こうとするが、体勢上にっちもさっちもいかず顎を引くだけに留まった。椅子はガタン!と大きな音だけを鳴らしたが。 「…っうぇ、え、なに、だれ」 ずっと黙っていたがために声もかすかすに掠れる始末である。情けない… しかし突然やって来たそいつはそんなことも気にせず、マヌケな顔の僕の肩を掴みぐっと身体を起こさせる。 髪は色がジルより明るくて、肩につくぐらいの長さ。太めの眉とその上でまっすぐに切られた前髪が強く印象に残りそうだ。 印象的な眉がキッとつりあがる。 「ちょっと、誰って本気ィ⁉ボク、君と同室なんだけどォ!」 「あ、え、えっと寮の部屋の話…?」 「そうだよォ!」 思ったより大きな声で叫ばれて、困惑は最高潮だ。 決して僕は孤高の男を気取って独りでいるわけじゃない。話しかける勇気と話を続ける能力がなかったがために、独りで過ごすという諦めの境地にいるだけの悲しい人間である。 よってこういう人間に対する、というか突然やってきたこの状況に対する対処の仕方を全く持たないのだ。 「もう!いっつも朝早~くに部屋でていくしさァ、帰ってくるのも遅いしずぅっと気になってたんだよォ!」 きゃらきゃらとした話し方の割に、僕の肩を握りしめる力はびっくりするほど強い。 てか痛い、普通に痛い 「えっと…」 「あ~もしかして名前も分かんない感じかァ!」 「うん…」 「顔も知らなかったらそりゃそうか。  ボクはね、ラルカリアっていうんだよォ!ラルって呼んで!」
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