メーカーのOLが転生したら、ギルドのイケメン職員に騙された

4/24
33人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
 改めて自分の身の上を振り返ると、泣けてくるわ。ううう。 「ユエ、泣かないで? そこまで追い詰めるつもりはなかったんだ」  いつの間にかリアルに涙を浮かべていた私は、アニエスさんを気遣わせてしまっていたようです。 「ごめんなさい! 違うんてす。アニエスさんのせいじゃありません。ちょっと自分が情けなくなってきて……」 「そんなことないよ。とにかく、落ち込むユエに朗報だよ!」 「何ですか?」  アニエスさんが、こちらを見つめている。なんとなく、弓をつがえて構えた猟師みたいな目。 「僕と一緒に森へ入ろうか?」  私は顔が沸騰するのを感じました。  この世界において、『森へ入ろう』という言葉は口説き文句の一つです。意中の人と二人きりになりたいという意味ですね。さらに、『森へ入っても君のことは守ってあげる』ということでもあります。森って、基本的に魔物がいますからね。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!