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アニエスさんはあからさまに残念そうにしていました。この人やっぱり優しいんだわ。そしてその優しさで、きっとたくさんの乙女を泣かしているのね。
「それではこれで」
討伐依頼の手続きが終われば私もさっさと一人で森に入らねばなりません。働かざる者生きてはいけぬ。私がアニエスさんの視線を無視してカウンターを離れようとすると……今度は腕を掴まれてしまいました。
「遠慮はいけないよ?」
アニエスさん、キャラ変わってなくない? 何この、無駄に怖い威圧的な笑顔は。
というわけで、やってきました森の入口。ここは、私がFランク時代から通い続けている場所で、ソマラナンダの森と言います。薬草もたくさん生えていて、初心者向けですね。
私は、静かに後ろを振り返りました。
「ほら、早く入らなきゃ夕方までに依頼数がこなせないよ!」
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