メーカーのOLが転生したら、ギルドのイケメン職員に騙された

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メーカーのOLが転生したら、ギルドのイケメン職員に騙された

 ふえーっくしょんっ!  冒頭から盛大なくしゃみですみません。私、ユエって言います。変な名前でしょ? 実はこれ、前世と同じ名前なんです。ってことに、つい今しがた気がついたのでした。  まさか、くしゃみがトリガーで転生していたことを思い知るなんて……! ちょっとカッコ悪すぎて、惨めになっちゃいます。普通、高熱を出すとか、大きな事故に遭って頭を強く打つとかだよね? というのは、前世、中途半端なラノベ好きだった私の偏見でしょうか。  私は、冒険者御用達の安宿の二階、一番端にある部屋にある質素なベッドから体を起こします。まだ春になったばかりで、薄手の寝間着だけでは少し肌寒いこの季節。ブルブル。私は今日もチョコレート色のコートを纏うと、一階の食堂で朝ご飯を食べて、冒険者ギルドへと向かうのでした。  ギルドは朝から賑わっています。この街に来たばかりの時は視線が合うだけで喧嘩を売られていた私ですが、今ではすっかり住民の皆さんと馴染んじゃって、そんなトラブルも起こりません。いつも通りに掲示板にあったスライム討伐の依頼書を引きちぎり、それを受付カウンターへ持っていきました。 「おはよう、ユエ」
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