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スマホのカレンダーアプリを自室で見つめたまま、浅海は小さく息を吐いた。もうすぐ、木曜日がやってくる。
――どうしようかな。
ふつうに考えれば、八瀬は自分の怪我を知っているわけで、暗黙の了解でアルバイトが休みになっている可能性が高い。そうでなくとも、「しばらく来なくていいよ」のあとに、再開する旨の連絡を受けていない身だ。
行く必要はない、というのが、正しい見解なのだろう。
――わかってるけど、でも、利き手じゃないし、ふつうにできると言えばできるしなぁ。
実際に、帰宅した日の翌々日くらいからは、通常通り家のことを担っている。
妹が手を挙げたものの、その手つきがあまりにもあまりだったので、「大丈夫だから」と取り上げてしまった結果だ。
見ているほうが怖かったという理由なのだが、侑平あたりが知れば、「このタイミングで教え込めばよかったのに」と言うに違いない。
……まぁ、似たようなことは言われたけど。
怪我を知った直後のぎょっとした珍しい顔を思い出し、思わず苦笑いになる。
どうしたのかとは問われたものの、こちらに答える気がないと悟ると、溜息ひとつで呑み込んでくれたけれど。
おまけに、家から総菜を持ってきたり、買い物を手伝ったりとなにくれとなく手を貸してくれている。
ありがたいと思っているものの、余計な心配をかけたくなかったから、本当のことを言うつもりはなかった。
終わった話だ、ということでもあった。
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