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「あ、でも……、お世話になっただけじゃ悪いかなって。だから、今度、ごはんつくりに行く予定で」
「なんでですか!?」
食い気味に遮られて、浅海はへらりとほほえんだ。
「来てもいいって言ってもらった、から?」
そう、言ってもらったはずだ。
優しい瞳に「じゃあ、楽しみにしてようかな」と頷いてもらったはずで。その前にちょっと驚いたような顔をされた気もするけれど。
でも、最終的にはいいって言ってくれたわけだし。
だからいいかなと安直に判断したのだが、もしかして常識外れな言動だったのだろうか。
不安に駆られて幼馴染みを見上げると、頭痛を堪えているような顔をされてしまった。
「浅海」
「え? なに、俺、そんなに駄目だった?」
「いや、……駄目っつうか。おまえ、頼まれたからって、なんでもほいほい言うこと聞くのやめろよ、いいかげんに」
「できそうなことしか聞いてないつもりなんだけど。道教えるだけだったし」
まぁ、教えることはできなかったわけだが、それは結果論だ。
「……あとなんで、おごってもらったお礼が、おまえが飯つくりに行くになるんだ」
「え……、それくらいならできるかなと思って」
本当に話の流れだったのだけれど、一基さんが外食ばっかりだと味気ないよね、と言っていたから。その、つい。とは言えなかったのだが、察したらしい昂輝が、「あぁ」と呟いた。
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