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 かわいい後輩なのだが、一度言い出したら自分が納得するまで絶対に折れないのだ。  自分を心配して言ってくれているということはわかるから、ありがたいと思っているけれど。  ――侑平もだけど、本当に友人には恵まれてるよな、俺。  家族の代わりに十分すぎるほどを。  ぴこんと鳴った通知に、浅海はスマートフォンを取り出した。表示されたメッセージに知らず頬がゆるむ。  八瀬からだった。 『このあいだは付き合ってくれてありがとう。ところで、ごはんはいつつくりに来てくれるの?』  不審げなふたりに「なんでもない」と言い繕って、文字を打ち込む。  言わないほうがいいだろうなと判断したからではあったのだが、秘密にしたいような気持ちもたしかにあった。 『いつでも! 一基さんの都合のいい日を教えてください』  頭に浮かんだのは、たいしておもしろくもないだろう子どもの話を穏やかに聞いてくれていた、鳶色の瞳で。  ――優しい人だと思うんだけど。  後輩の様子をそっと窺ってから、視線を手元に戻す。優しい人だとは思うけれど、自分のイメージを押しつけるつもりはない。昂輝のほうが彼のことを知っているのだろうし。でも。  提案された日付に「わかりました」と返信して。少しだけ悩んでから、浅海はもう一言付け足した。 『楽しみにしてますね』  仮にもお礼なのだから、自分が楽しみにしているというのは変だったかもしれない。  そう思ったのも事実なのだが、楽しみにしているというのもまた事実なのだった。  どうしてなのか、自分でもちょっと不思議なくらいに。  
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