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「大丈夫か、そっか」  なぜか苦笑気味に、八瀬は繰り返した。 「ぜんぶ浅海くんがやってるの? 妹さんいるんじゃなかったっけ」 「あ、はい。います」 「もうその子も中三なんでしょ。十分にできる年だと思うけどな」 「それはそうなんですけど。一応、受験生だし」 「でも、浅海くんは同じ年だったときにもやってたんでしょ」 「それは、まぁ……」 「もしかして、浅海くんが頼ってほしいの?」  その言葉に、妙にどきりとしてしまった。浅海の反応を知ってか知らずか、八瀬は淡々と言葉を紡いでいく。 「頼られたらうれしいとか、頼ってもらいたい、とかね。そういうのは、あんまりいいことじゃないよ。もちろん、優しいってわけでもない」 「……はい」 「耳障りのいい言葉で誤魔化してばかりいると、必ずいつか駄目になる。誰かのためは理由にならないし、自分の存在意義は自分で見出さないと意味がない。少なくとも、俺はそう思うよ」  あくまで自分は、というていで八瀬は話を終わらせたが、ぐさりと心に突き刺さった。  自覚があったからだ。
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