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 ――って、あたりまえか。  勝てる要素なんて、ひとつもないのだから。小さく溜息を吐いて、ソファの端に腰を下ろしたところで、妹にメッセージを送って以来スマートフォンに触っていなかったことを思い出した。  連絡を返さずに放置していると、気にする人間がいるのだ。今日連絡が来ているかは五分五分といったところだろうけれど。  連絡を返さずに放置していると、気にする人間がいるのだ。連絡が来ているかは五分五分といったところだけれど。  自分の不在は向かいの家に住んでいる幼馴染には筒抜けで、今夜に限って言えば親子喧嘩まで聞かれていた可能性がある。 「……やっぱり」  届いていたメッセージに、思わずそんな声がもれてしまった。  家にいたくないなら、俺の家に来たらいいだろ。いつも、なんでもないように侑平はそう言ってくれる。侑平の両親も小さいころからよく知っている浅海のことを快く受け入れてくれる。  知っているからこそ迷惑をかけたくなくて、逃げ場所に選べなくなった。  ――そんなこと言ったところで、一基さんにこうして迷惑かけてるんだから、なんの意味もないんだけどな。  どこにいるのかと尋ねてくるメッセージに、大丈夫と返信を打ち込む。けれど、そこで指が止まってしまった。  八瀬の家にいると知れば、勘ぐられるにちがいない。今まで自分の言動に原因があるとわかっているが、幼馴染みは案外と心配性なのだ。
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