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「俺、そんなわかりやすいですか」 「ううん。年齢を考えたら、ちゃんと取り繕えてるほうだと思うよ」 「じゃあ、なんで……」 「俺のこれは職業病みたいなものだから。べつに浅海くんがどうのこうのっていう話じゃないよ」 「人をしっかりと見ることが、ですか」  そうやって信頼関係を築いて、わかり合っていく、ということなのだろうか。問いかけると、八瀬がふっと小さく笑った。 「……ま、そういうことにしておこうかな」  またなにか見当違いなことを言ってしまったのかもしれない。そう思い至ったのは、指先が離れていってからだった。 「もちろんわからないこともあるけどね。接していくうちにわかることもあるっていうだけで」 「たとえば、どんなことですか」 「聞きたいの?」  からかうように問われて、自分がどう見られてるかなんて積極的に聞きたい話でもないなと思った。でも、聞いてみたかった。この人に、いったいどんなふうに思われているのか。  頷くと、八瀬が少し困ったようにほほえんだ。 「観察されてるみたいで、気分のいい話でもないと思うんだけどな」 「大丈夫です。あの、……もし、よかったらなんですけど。参考までに」 「参考か。じゃあ、そうだな、世間一般的な話からしようか」  世間一般的な話。もう一度頷くと、八瀬はいつもどおりの淡々とした調子で話し始めた。 「顔がいい人間っていうのは、自己肯定感が高いことが多い。周囲から優しくされる率が高いからだ。でもね、容姿が原因で嫌な目に遭った過去があったりすると、真逆の状態になることもある。そういう意味では、浅海くんはわかりやすかった」 「わかりやすい……」 「うん。なにか嫌なことがあったんだろうなって」
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