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「あの、それで、浅海さん。金曜の夜、なにしてました?」 「金曜の夜……って、なんかしたっけ、俺」  そんな怖い顔で問い詰められるようなことをしでかした覚えはないのだが。  おまけに屋上に出るやいなやである。  ーー金曜の夜、かぁ。  二日前の記憶を手繰ってみたものの、これといった心当たりはない。 「なぁ、俺、金曜ってなにしてた?」 「なんで俺が知ってんだよ」  自分には関係がないとばかりに弁当を広げていた幼馴染みが、嫌そうに眉をしかめた。 「知らねぇけど、バイトだったんじゃねぇの?」  嫌そうな顔をしたところで、結局こうして教えてくれるのだから、さすがの面倒見の良さである。  そう、そしてバイトはバイトだったのだけど。そこまで考えて、浅海は小さく首をひねった。 「バイトだったけど。でも、なんの問題も起こしてねぇよ?」 「バイトって、まだ風見さんのとこでやってるんですか?」 「あ、うん。そうだけど」  昴輝の質問に頷いた瞬間、隣からの視線が鋭くなった。あ、と失言を悟ったものの時すでに遅し。 「おまえ、まだやってたの?」  夜の遅いアルバイトを、侑平がよく思っていないことは知っている。心配してくれているのだろうということも。   「まぁ、うん」  苦笑まじりに首肯してから、理由を言い足す。ちょっと言い訳めいたかもしれない。 「時給いいし、風見さんいろいろ融通きかせてくれるから」 「あの人のことは信用してるけど、でも、あんまり遅いのはやめとけよ」
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