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「まぁ、うん。そうだよな」 「聞く気ねぇだろ、それ」  先ほどに増して呆れた声音だったが、背に腹を変えられない事情を熟知している幼馴染みは、不承不承のていで溜息をこぼした。 「終わったの、何時だ」 「え? いや、ちゃんと日付が変わるころくらいには……、あ」 「あ?」  ガラの悪い声だが、生まれたころから見ている顔である。そのくらいで躊躇はしない。それよりも、と、なんとも言えない顔で黙り込んでいる後輩に、浅海は笑みを向け直した。 「ごめん。昂輝。そのあとのことだよな。言うの忘れてた」 「バイトの件は俺も気にはなるんですけど。とりあえず置いておきましょうか。そのあとですよね、本題は」 「一基さんに会った」 「会っただけ、でした?」 「えっと、なんか、流れでご飯ごちそうになって、送ってもらったけど」  一基さん、と訝しげな顔を見せた侑平に、「このあいだ、昂輝の家で会っただろ、金髪の二十代半ばくらいの」と注釈を入れる。 「あぁ」  思い出したものの、しっくりとこなかったらしい。 「その人が誰かはわかったけど。なんでたった一回会っただけ……というか、顔見知りとも言えないような人と、そういうことになったんだよ」
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