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 ここで「大丈夫」と繰り返すのは、まずいんだろうな。ようやく回り始めた頭で、納得してくれそうな台詞を選ぶ。 「さすがに病院行くつもりはあるから。だから、大丈夫」 「……本当ですか、それ」 「本当、本当」  疑惑と心配と苛立ち。そういった感情を抑えただろう淡々とした声が、やはりどうにも申し訳なくて、浅海はもう一度笑った。 「余計なこと言われても面倒だし、自分で嵌めれたらよかったんだけど。ちょっと難しいから」 「浅海さん」 「だから、本当に大丈夫。ちゃんと行くから。昂輝もあんまり遅くならないうちに」 「聞かないから!」  必死な声に遮られ、小さく瞬く。余計な心配なんてさせたくなかったのに。おずおずとした調子で浅海の左手を取った昂輝が、そっと息を吐いた。 「浅海さんが言いたくないなら聞かないから。だから、病院、俺に連れて行かせて」 「昂輝」 「俺が知ってるところだったら、警察にも家にも連絡させないし、余計な診療もさせない」  だから、と言い募られ、思わず目を伏せる。家に連絡が入らないことはありがたいけれど、昂輝を巻き込みたくなかったのだ。
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