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「人身売買? 馬鹿な! 何時代の話だ!」
見詰める女の顔は確かに美しかった。それも何処かで見た覚えのある顔だ。思い出そうと見詰め続ける女の美しい肌から霜が落ちてゆく。
女は突然、瞼を開き僕の顔をジロリと横目で見た。
僕は操作を誤ったのだと思い、慌てて操作パネルを確認すると、何者かが強制開放指示をだしている。
ポットの強化ガラスがゆっくりと開いてゆく。女は僕の顔を見詰めたまま、ゆっくりと上半身を起こした。女の美しい顔には不気味な微笑が浮かんでいる。美しい弧を描く二つの乳房が揺れた。
僕は、操縦室へ移ろうと周囲を見渡した。そのとき、薄暗い貨物室の全ての保存ポットのガラスが開いていることに気が付いた。
不気味な微笑をたたえる女たちが僕に注目している。ベッドから起き上がった七人の女たちは、僕を取り囲んでいる。光の反射に浮きあがる、美しい顔と艶やかな胸の曲線がゆっくりと僕に迫ってくる。
「だっ誰か!」
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