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 叫んでも宇宙のど真ん中だ。誰にも聞こえやしない。同じ顔をした女たちの、無数の腕が僕に迫る。僕が取り押さえられようとしたとき、女たちの後ろから鈍い色をした不恰好なU字型アームが伸びた。  二本のアームが女の首を挟む。 「助かったぞ、ポンコツ!」  と、ゴキ! バキ! と鈍い音をたて、女の首が九十度に押し曲げられた。女たちの首が次々に明後日の方向へ向いてゆく。 「止めろ! 殺すな!」  生き残った女を引き離し、死体を掻い潜って駆け寄った僕の首にも、ポンコツは振り上げたアームを差し挟んだ。僕の首は造作もなくあらぬ方向へと強引に捻じ曲げられる。 「コイツ、ポンコツじゃない!」  意識を失いかけた僕の目に、オレンジの室内灯がパチパチと瞬いた。
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