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 僕は宇宙飛行士だ。  時代が二十三世紀ともなると、宇宙旅行でさえ隣の都市へ遊びに出かける感覚になっている。  教習場で実技指導され、こまごまとした法律などの学課規則を学び試験をパスすれば、余程のことでもない限り宇宙飛行士としての免許が貰える時代になっている。  僕は高等基礎義務教育期間を終えると、すぐに宇宙飛行士の免許を取得した。  最大長百メートル以内、総重量百二十五トン未満の、いわゆるクルーザー級までが操縦可能な一級宇宙飛行士免許であれば、外宇宙まで出掛けることができる。二級は出発地の惑星系周辺一光年までと定められている。一級は亜空間航行を前提とした免許だから、一般人が取得できる最も難しい免許となっている。  一級免許の取得から五年以上の実務経験を積み、 軍隊や大手企業に勤めれば巨大な貨物船や大型戦艦も操れる。  小型の貨物船や民間旅行会社などの送迎業務に従事する為には、一級宇宙飛行士免許取得が必須となっている。  だから僕は子供の頃から一級宇宙飛行士に成ることを心に決めていた。いつの日か自分の船を持ち、息苦しいこの世界を飛び出して自分の意思で宇宙を飛び回る。そんな本当の自由を手に入れる為に。
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