途絶

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 娘がうなり声をあげる。娘がこぶしを何度も机に打ち付ける。鈍い音が響く。娘がわたしを握りしめる。ミシミシとプラスチックのきしむ音が響く。娘が机に額を打ち付けた。落ちた髪の隙間から目玉がわたしを見据える。娘の爪が手のひらに食い込む。娘の唇がかみしめられ、白くなり、血がにじんだ。娘がぎりぎりとわたしを握りしめる。わたしが壊れていく音がする。  おとこはとびおりないまま。むすめはかけないまま。わたしだけがこわれる。
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