大団円という名の後始末

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「アンナ=カーキツバタです。よろしくどうぞ」 「アンナ=クワハラ=カーキツバタじゃないのか」 「クワハラは、女王でないと名乗れないの。わたくしはまだ候補ですから」 「候補? ということは他にも後継者候補がいるという事かい」  アンナが言葉に詰まったので、あまり突っ込んだ事を訊かない方がよかったかなと、言ったあとで気がついてしまった。 オレの質問は侍従長が代わりに答えてくれた。 「カーキ=ツバタ王国は女王制で、初代クワハラ王の血筋である事が女王になる条件となります。そして候補者が多い方が血筋が絶えない為の行為でもあります」 なるほど。と、ここまでは思った。 「ですから、女王様はより良い血筋を残す為に、何人かの夫を持ちます。アンナ様は第5王父の子となります」 …………、うん、スルーしよう。今はそれよりはカイマの事の方が重要だ。 「親衛隊のみんなは大丈夫だったかい」 王女とはいえ、あどけない、見た目15歳くらいのコなので、つい馴れ馴れしい言葉になる。  レギンレイヴが憑依している時は甘えん坊といった感じだったが、アンナはなんと言うか気品がある。さすが王族と言うべきか。 「大丈夫、大丈夫、みんな頑丈なんだから。だから世界樹様も頑丈だと思って、隊長と一緒に世界樹様を投げたの」 前言撤回したくなるな、このコは自分の意思でやったのか。ああゾフィ隊長と同じで意思共有できるのか。 「バルキリー様と意識共有できてるのは、私以外だとアンナ王女だけです」 と、ゾフィ隊長が補足する。となるとあらためて、さすが王族だと思った。 「世界樹様、女王陛下よりこの度の活躍の御礼として、服をお贈りしたいとの事です。受けてもらえますか」 「服だけなんて思わないでね、もちろんそれだけじゃないわよ。でも、カーキ=ツバタ王国の服といったら、他の国でも評判の代物だからね。それなりに価値はあるわよ」 侍従長とアンナ王女の勧めもあり、快く頂戴する事にした。 サイズの確認も兼ねて着替えを勧められそれに応じると、ゾフィ隊長とアンナ王女は部屋を出ていった。 「ふむ、サイズ直しの必要は無いようですな」 「そうですね。いつの間に測られたんだろう」 「見立てはモーリです。目分量でここまでやられるとは、私も感心しますな」 侍従長の言葉にオレも同感した。  さて、アディの着替えもそろそろすんだ頃だろう。オレは部屋を出ると、隣の部屋に向かう。するとアディのいる部屋が騒がしい、誰かが言い争っている声がした。  扉を開けると、アディとゾフィ隊長が嵐のように言い争っていた。何してるんだ?
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