第14話 お祝い

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「えー、でもちゃんと黒っぽいのは出るよ?」 「だって、その宝珠には、魔力が流れてない」 「えっ?」  エミリアから知らされた事実に、ヘレナが目を点にした。 「分かるんですの?」  目を丸くしたカリーナに、エミリアは自分の目を指差して頷く。 「私の目は、魔力の流れや濃度などが見える」 「エミリアって【魔眼】持ちだったの!?」 「は、初耳ですわ!」 「うん、秘密にしていた」  【魔眼】とは、普通なら見えないはずの何かを、見ることができる目の総称だ。  ゲームでは、【魔眼】持ちは魔族の血が混ざっている証拠だと勘違いされていて、人々から迫害対象になっていた。  勇者アデルが【魔眼】のせいで虐げられる薄幸の少女を助けるイベントがあり、しばらくゲストキャラとして仲間になっていたのを覚えている。  今では勘違いも解けて……というか、ゲーム中のイベントでアデルが解いたことになっているのだが……迫害されることも少なくなった。  でも今でも迷信を信じている人が完全にいなくなったわけではないので、エミリアは自らの保身のために秘密にしていたらしい。  エミリアが【魔眼】持ちだったことを知り、ヘレナは感心を通り越してちょっと呆れたような声を上げた。 「ほえ~、エミリアって魔法の力も凄いけど、そんな才能まで隠し持ってたんだ……」 「そう、とってもお得」  そう言って、エミリアがこっちに目を向けてきた。  無表情のまま、じっと俺を凝視して同じ言葉を繰り返す。 「とってもお得」 「そ、そうか……」  彼女の意図が分からず、とりあえず同意しておくと、エミリアは満足そうに頷いた。  何か嫌な予感がしたので、さっさと話題を変えるべく、先ほどから黙って【常闇の宝珠】を指で突いているウリエルに声を掛ける。 「どうした?」 「な、なんでもないわよ~」  明らかに動揺したような声を上げ、そのせいでウリエルに皆の視線が集まってしまう。  彼女はうっと言葉を詰まらせると、観念して捲し立てた。 「だってしょうがないでしょ!? この変な煙が穢れのように見えて【魔化の宝珠】かと思ったのよ! 私だって勘違いぐらいするわ!」 「あー、そういうことか。ってか、まだ見つかってなかったのか?」 「それは、その……」
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