第15話 ウリエルの依頼

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第15話 ウリエルの依頼

 長かったお祭りの最終日。  俺は一人、朝早くから魔法使いギルドを訪ねていた。  今日の夕飯を、昨日よりも豪勢にするためだ。  せっかくだから、俺のできる範囲で盛大に祝ってやりたいし。  それに、俺自身にも頑張ったご褒美が欲しい。  なんと俺は、この二ヶ月で、この世界の文字をだいたい覚えてしまったのだ!  どうしてかは分からないが、元々この世界に来てから日常会話の方は問題なく出来ていたし、少し勉強するだけで自分でも驚くほどスルスルと文字を覚えていった。  もし日本にいた頃、これぐらいの効率で英語やらを覚えられたら、俺はもっとランクが上の大学に行けたかもしれないのに……  まあ、今となってはそんなことを考えてもしょうがない。  カリーナの試合までには間に合わせたいので、俺は急いで依頼の張られている区画へと足を運ぶ。  魔法使いギルドで受けられる依頼は、そのほとんどが魔物の討伐に関するものだ。  他にも、様々な素材の採取や採掘といった依頼もあるが、討伐依頼に比べれば圧倒的に少ない。  また、達成した時のうま味も討伐依頼の方が上なので、大抵の魔法使いは討伐依頼ばかり受けていた。  採取や採掘の依頼も、依頼主では取りに行けないような危険地帯にあるものが大半なので、同じ命をかけるなら収入が多い方を選ぶのが普通だろう。  依頼自体の報酬は同じぐらい……というより、採取や採掘依頼の方が高いぐらいなのだが、討伐依頼だと倒した魔物から取れる素材はそのまま討伐者のものとなるので、結果的に討伐依頼の方が儲かるのである。  ギルドを運営している天使としては、地上から魔物を掃除してくれればそれでいいので、何か問題が起こらない限りは素材には拘らないらしい。  ギルドで討伐依頼を受けると、魔物がどのあたりで出没したかの情報を教えて貰える。  だから魔物から取れる素材が欲しい場合も、目的の魔物が対象となっている討伐依頼を探すのが効率的だった。  俺は、張り出されてある依頼を端から端まで見ていったのだが……欲しいものが一つも見つからない。  というか、レベルの低い討伐依頼しか見当たらない。  百六十年の間に魔物が弱体化したのだろうか?  と良いことのはずなのに不安になっていると、ふと見覚えのあるギルド職員に声をかけられた。 「あの、アデル様は依頼を受けにいらっしゃったのでしょうか?」
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