1131人が本棚に入れています
本棚に追加
なんか罪悪感が湧いてきてしまったので、ドラゴンの命までは取らずに、尻尾だけ切っていくことにした。
それでも十分に外道だが。
俺はまず風属性魔法の【トルネイドⅢ】を発動させ、湖付近にいるドラゴンたちを吹き飛ばした。
強烈な突風に巻き上げられ、ドラゴンたちが悲鳴を上げてキリキリと空を舞う。
彼らには翼があるので、高所から落下してもダメージを緩和きるだろう。
ドラゴンたちが戻ってこないうちに、俺はアイテムボックスから巨大なヒョウタンのような容器を取り出すと、湖に沈めて酒を汲み始めた。
容器が満タンになるのを待っている間に、風属性魔法の【ウィンドウ・カッターⅢ】を、一番近くにいたドラゴンの尻尾に放つ。
魔法による風の刃は、鉄の剣程度ではかすり傷も負わせないと有名なドラゴンの鱗を、ズバンッとあっさり斬り飛ばした。
そうして頂いた尻尾の先を、すぐにアイテムボックスへと収納する。
これに入れた食材は、中で時が止まっていたかのように鮮度が保たれるので、とても便利だ。
尻尾の先だけといっても、元の図体が大きいので、一回では食べきれない程のドラゴン肉が手に入った。
これで、しばらくは肉類に困らないだろう。
俺は頃合いを見計らって、湖に沈めていた容器を引き上げると、速攻で【天翔】を発動させた。
そうして、怒るドラゴンたちから逃げるようにして空を駆ける。
思っていたよりも時間が掛かってしまった。
俺は三位決定戦が長引いてくれていることを祈りつつ、全力で王都へと向かったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!