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――どうして自分は、こんなにも意固地になっているのだろうか?
ふとした瞬間に、頭の片隅でそう思うが、何かに邪魔立てされるように消えていく。
やがてレベッカは、いつの間にか大会が行われている試合場の前にまで来ていた。
表に張り出された結果によって、カリーナが決勝まで勝ち上がっていたことを知る。
――本当なら、そこにいるのは私だったはずだ。
試合場から上がる歓声を耳に、そんなことを思った。
実際、エミリアと決勝まで当たらないことを知った時、自分の入賞は確実だと信じて疑わなかった。
決勝戦で、エミリアと戦うのは自分だったはずなのだ。
居場所を、カリーナに掠め取られた気がした。
ふつふつと湧き上がる憎悪に、レベッカはだんだんカリーナのことしか考えられなくなっていく。
この時彼女は、自分の首飾りにある青色の宝石が、暗い光を放っていることに気がついてなかった。
いや、もう気がつけなかった。
レベッカの思考が、何らかの力に誘導されるようにして、どんどん負の方向へと傾いていく。
あの日の試合。
カリーナに、負けた瞬間。
彼女が、自分に向けた憐れみの目を思い出して――
レベッカは目の前が真っ赤になったかと思うほどの激情に駆られた。
憎悪の念が全身を支配し、頭の中を黒く染め上げ――
それきり、プツリとレベッカの意識は途切れたのだった。
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