メシスタント・ヘルパー

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1  風呂敷包みがちょこんと顔を出した。その真下で白い歯がのぞいている。顔の全体を見なくても何を期待しているのかわかってしまう、ある意味完璧な表情だった。  惜しむらくは、事業所で留守番しているのが信楽美也子一人であることだ。 「……何してるんです、常滑さん」  ひょうきん者とは努めて距離を置いてきた美也子には、どうしても気の利いた言葉が思い浮かばなかった。風呂敷包みを目元から口元へ移動させながら事業所内に入ってきた常滑たまきは、 「普通に入ってくるだけじゃつまらないかなって。ちょっと腰にきたけど」  無理な姿勢を数秒間維持した代償か、腰をさすりながら言った。 あくまで剽げる風を崩さないたまきを見ていると、困惑の気分が解けていく。丸い眼鏡とレンズの奥で細められた目に愛嬌があって、声音にこめられた感情も明快だ。三十九歳と聞いているが、きめの細かい肌のおかげで十歳近く若く見える。独身なのは恋愛が充実しすぎているせいなのではないかと勘ぐりたくなるほどだった。 「信楽さん、留守番なの?」 「はい、用事とか送迎で皆いなくて」
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