メシスタント・ヘルパー

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 二人暮らしであっても、家事を担う人が病気や障害を抱えていたり、時間的な余裕が持てなかったりすれば生活援助を受けることができる。現在のところはその要件を満たしていないようだが、いずれは依頼が来るかもしれない。その時が来なければ良いと思いつつ、楽しみな気持ちもあった。  シフト表には、まだ修治の名前が残っている。聡子が戻ってきても彼が自力で動けない現状は変わらない。退院すれば聡子には家事があって、現状ではその手助けはしてやれない。しかし、記憶に留め置いておけば、いつか関わる日が来るかもしれない。それは祈りのようなものだと美也子は思った。  その時を想像していると、事業所の入り口をたまきが覗き込んでいるのに気がついた。以前、普通の登場がつまらないと言っていた彼女にしては控え目な現れ方だった。 「無事に帰ってきて良かったね」  聡子が帰ってきたことでお役御免になった一人であるたまきだったが、夏目家が元に戻ったことを喜ぶようだった。 「もしかしたらいつか、お願いするかもしれませんけど」 「うんうん、その時はもちろん行くよ」
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