メシスタント・ヘルパー

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「栄養士さんからこれ以上は出さないようにと言われてますから」  この対処法も聡子から教わったことだ。要求は多いかもしれないが、医者や栄養士の指示をちらつかせるとしつこく食い下がらない。要は権威に弱いのよ、と聡子は愉快そうに笑って締めくくっていた。 「じゃあしょうがないか」  実際彼は素直に箸を取った。ここまでの所要時間は約一時間、ほぼ予定通りの時間配分だった。 「他にも何か、家内から言われてるのかい」  彼の傍に立って様子を見ていると、修治が訊いてきた。 「料理だけです。あとは必要があれば掃除もしてくださいって」 「掃除は、どうせ他の部屋は使わないし、汚れようがないな。俺の部屋も最近掃除したばかりだし」 「じゃあ、わたしたちはこれで」 「あ、待ってくれ」  記録書を書いて部屋を出ようと思った美也子とたまきは、首を向けてきた修治に呼び止められる。 「今度は酒持ってきてくれないか?」  それは予想外の要求だったが、 「それも管理栄養士さんが駄目って言ってます」  マニュアル通りの対応をする。しかし今度は、 「どうしても駄目かい?」
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