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数十年後…
「おばあちゃんまたね。元気になってね。」
「お母さん。体には気をつけてね」
私もすっかり老けて、子供どころか孫までできた。
「うん、おばあちゃん頑張るわ。あなたも、体に気をつけなさいよ。」
そう言ったものの、もう先は長く無いのは悟っていた。皆が病室から出て行き一人になりベッドに横になる。すると彼が横に居る。そんな気がした。
「ふふっ…あなたの願い全部叶えるつもりだったのよ。あれは全部私が幸せになるためのものでしょう?」
私の言葉は空へと飲み込まれる。でもそんなの関係ない。
「なぜ全部叶えなかったのかって感じね?それを叶えれば私が幸せになれると思ったのでしょう。馬鹿ねあなたは、だから国語が苦手なのよ。」
私が叶えることのなかった彼の願い。それは、
「僕のことを忘れてください。今までの願いを叶えてくれた貴方には辛いかもしれませんが」
「私はね、あなたの願いを、貴方のことを忘れなかったから幸せになれたのよ。そんなこともあなたは予想できなかったの?」
彼が手を差し出しているように見える。
「迎えにきてくれたのでしょう?じゃあ行きましょうか。」
私は静かに目を閉じる
その日一人の人が亡くなった。
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