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「教師っていいよね……」
五月も終わりに近い撮影日。伊織先生が唐突にそんなことを言い出した。
「小学校なんか最高よね。若い女児、それもちょっとおませになった女児に囲まれるなんて、なんて素敵なの!」
伊織先生が言うと危険な香りしかしないのは何故だろう?もちろん日頃の行いのせいだが。
「伊織先生、小学校には男児もいますぞ」
タッくんが窘めるように諭すが、その返しはやはり伊織先生だと言うか。
「男児なんかいらない!私の可愛い女児を男児の視界に入れるものか!見たかったら金払えよ!」
と暴論をまくし立てたあと、伊織先生のいつもの思いつきが発動する。
「そうだ!私が教師をやって男共から金とる小学校イベントすればいーじゃん!やっぱり遠足!?やっぱり遠足よね!!」
勝手に思いつき勝手にイベントが決定してしまった。正直いつものことなのでスタジオメンバーはとっくに慣れっこだ。
「瑠璃、良くん、香多くん、げたんわくんは女児役!私とほんもの女子と大人にょたは教師!男共は保護者(仮)!いてもいなくてもいい!」
伊織先生がわめき立てる中、撮影を終えたメンバーはお茶をしている。スイッチが入った伊織先生を止めるのは無理だし、言うだけ言わせて本番に注意を払うことがこのスタジオの暗黙の了解だ。
「今回も束砂さんが衣装をデザインするの?」
「それが私の仕事ですからねーー」
俺の問いに束砂さんはのほほんと答える。ほんもの女子の皆さんは加入したばかりの頃は伊織先生寄りだったが、伊織先生のあまりのパワフルさに毎回食らい付くのも疲れるようだ。だが、ほんもの女子は間違いなくイベントを楽しんでいる。
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