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「お姉さんはおまえらのお姉さんじゃないぞ。困らせるなよ」
「にぃーに焼きもちだ」
「焼きもちやかないでくださいよ」
「焼きもち」と楽しそうにはしゃぐたくくんと、呆れたようにため息をつくきょーくんに挟まれて恥ずかしくて赤くなっていく顔を隠すようにうつ向いた。
「うるせー悪いかよ」
「……えっ?」
「お姉さんはオレと話してたんだ。返してもらうからな。おまえらはテレビみて待ってなさい」
「はーい」
「仕方ないですね」
恥ずかしすぎて那砂くんの顔を見ることができないからテレビをみる双子の兄弟の後ろ姿をじっと見つめていると、那砂くんがぽつりと呟いた。
「あいつらの後ろ姿を見ていると、本当に幸せだなって思うんだよな。後ろからこう、ぎゅっとしたくなるんだよ」
そういうと、那砂くんが真剣な顔でテレビを見ている双子の兄弟を後ろからぎゅっと抱きしめた。
「こいつは甘えん坊だけど誰とでも仲良くなれる人懐っこいやつなんだ」
そういってたくくんの頭をくしゅっとなでる。
「こいつは子供らしくなくてクールに見えるけど実は不器用なだけで本当はかわいいやつなんだ」
今度はきょーくんの頭をくしゅっとなでる。照れながらもうれしそうな顔をするきょーくんがかわいくて思わず笑みがこぼれる。
「母親が喫茶店の常連さんと再婚してくれたからこいつらが生まれた。働いているふたりに代わって家事もして、こいつらの面倒を見てって大変だけど、こいつらがいるから毎日が楽しい。だから家族っていいなって思えるよになったんだ」
わたしから見たらずっと大変そうに動き回っているから辛くならないかなって心配になっていたけど、楽しいといったときの那砂くんの顔を見たら心配という気持ちから、じわじわと幸せな熱が上がっていくみたいに、心の真ん中が温かい気持ちで満たされていくみたいだ。
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