一時間目 王道学園での俺的処世術

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 その様子を上から眺めていた青年が一人。冷めた目でその茶番を観察し、小さなため息をついた。 「なにをしているんだアレは。」 「御学友と戯れていらっしゃるのではないでしょうか。」 「それだけでこれほど場を引っ掻き回すのは一年の時から変わらないな。」 「ええ……。流石ですね。本当に面白い方です。」 青年は返事を返した男の淹れた紅茶を、音もなく飲んだ。見事なプラチナブロンドを揺らして、慣れた手付きでカップを扱うその手付きは一つ一つの動作に品がある。横顔に光が指したところは、泉璃とはまた違う美しさを持っていた。少し神経質そうな切れ目に緑の瞳をした青年はカップを下ろすと息を吐いた。 「アレにとって面白いものを見つけてしまったせいで、問題をより面倒くさくする。」 「ご本人のお人柄もあるのでしょうね。貴方様も、彼にはつい……お構いになられたいようではありませんか。」 丁寧な割には、含みをもった言葉を紫に近い瞳を三日月のように細めて男は言った。それを見た美しい青年は鼻で笑う。 「俺の……仕事をアレが増やすから、目も向く。お前が考えるような、そんな鹿はありえないから、安心しておけ。」 「……失礼いたしました。私の邪推でございました。」 恭しく、頭を下げた。だが次に顔を上げた時には、口元に笑みを浮かべていた。それは学生らしい、若い笑み。 「ですが、私個人としては若様が学生生活を楽しまれることを願っておりますがね。今年で最後ですから。」 それに表情をわずかに崩し苦い顔をすると、ゆっくりと青年は息を吐いた。 「……ここも少しざわつき始めた。霧灯(ムトウ)今度あいつを呼べるか。」 「若様のご命令ならなんなりと。」 胸元に手を当てて霧灯はそれに応じる。制服の胸には白い羽根と盾の紋章。清廉潔白の証のようにそれは鋭く光っていた。
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