二時間目 転入生事変

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 転入生がやってきてから、はや二週間。皆様いかがおすごしでしょうか。俺は今……現実逃避しています。 目の前にかさばるファイルの山。転がるUSBメモリ。昨日眠りに落ちるまで格闘した、文書の数々。俺ってさ、学生……だよな。ブラック企業の営業戦士じゃねえよな。学生証を確認すれば、すっごくいい笑顔の俺。権力により加工した写真写りは最高だな。その笑顔どこにいったんだよ。 溜息をついて首をまわすとごりっと嫌な音がした。長いこと机で寝ていたのだから致し方ない。どうしてこうなったかと言えば、それは簡単だ。生徒会のみんなが仕事をほっぽいてどっかに逃げたからだ。 あ、勘違いしてほしくないのだけれど、鹿くんは悪くない。鹿くんは三年生で、うちの学校特有の卒業論文を仕上げてるからこれないんだ。先輩方が生気を締め切りという名のデスイー○ーに食い尽くされた顔されているからよくわかる。それでも、暇を見つけたら仕事をしに来てくれる。申し訳ないような気もするけど、正直ありがたい。 今は、双子も皐月ちゃんも……転入生に興味のすべてがいってるみたいで、ちっとも生徒会室にこない。まあ自分の通常業務はやってるから、いいとしよう。 わかんないのが、会長さんだ。 どこで何をしているのかよくわからないけど、キスをかました2日後から学校を休んでいる……っぽい。いきなりメールで『急ぎの仕事はデータで送れ。』と連絡があったきり、音信不通。きっと何故か集まる個性的な動物が多い森の島をクリエイトしているに違いない。冗談だ。 そんな自由なみんなは忘れているのだろう。新入生歓迎会のことを。 新入生歓迎会。ご想像の通り部活紹介して、学校の特色話してハイ終わりじゃない。全校生徒を巻き込んだ大イベントなのですよ。去年のアレは思い出したくないが…無理やり思い出すと……オニゴッコでした。捕まったらオニとペアになるという鬼畜ルールの。まさに鬼ごっこ。俺は、チャラ男設定を尊重するあまり、最終的に小柄な同級生(無論男)をお姫様抱っこしていた。抱っこした彼と、友達になれたのがおまけだ。(しずく)今、何してるんだろ。 そんな愉快な新入生歓迎会についての準備をたったひとりでやってる俺。 ほっといたら確実にまずいし、でも一人だと仕事量で寝る時間がショートスリーパーみたいになるし、授業休みたくないし……。 疲労がたたって、軽トラにぶつかって異世界転生って……どうしてあんなに多いんだろうな……。と再び現実逃避しつつ、パソコンに手を伸ばした。
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