六時間目 臨海学校

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 6月も終わりに近づけば暑い。肌をじりじり焦がす太陽を軽くにらみつける。元気なもんだ。俺の日焼け止め消費量及びスキンケア代金が最高値を記録するのはいただけないが、なんとなく気分も晴れやかになる。少し長い梅雨が抜けかかっているからだろう。 さてそんなことをぼんやりと考えられているのは。 プール開きの日に見学を選択したからである。プール開きなんて基本的には遊ぶだけの楽しい時間。それも学園のプールを舐めちゃいけない。広い、温水、綺麗、室内、ウォータースライダー完備だ。ここはリゾートホテルか? だからめいいっぱい着飾ったネコちゃん系の子たちは、浮き輪できゃいきゃい騒ぎ、大柄男子は泳ぎの速さで競うなどパラダイスと化している。 そんな中、テントの下で体育座り。うーん最高に暇。だから隣の幼馴染に暇をつぶしてもらおう。 「やーい千廣さんや」 「なんだい泉さんよ」 「何で健康優良児の癖して泳がないんですかい?」 「背中の虎と龍が水中恐怖症だってよ。」 「…………上半身も水着きればいいじゃん。」 「流石に透けるだろ。あと面倒だしよ。それを言えばお前もだろ。」 「僕には龍も虎もいませんけど?」 「足だって水着で隠せば気にすることないだろ。」 「……それは。」 少しだけ口ごもる。 幼馴染だからこそ俺達は泳がない理由を知っている。千廣は背中の立派な入れ墨、俺は……まあ、色々あって。揃いも揃って泳げないのにちょっとだけ不満を感じちゃうのは暑さのせいだろう。 すると俺の前にすらりと細身の皐月君が現れた。 「センリ、貴方泳がないんですか?」 「やーん皐月君は俺のヌードみたいの?ごめんこっからは有料だから。」 「……結構です。体調がまだ優れないのかと思っただけですよ。」 「心配してくれたの!ありがとね。元気だけど、日に焼けたくないからパス」 「水泳が苦手な私ですら泳ぐのに………まったく。あなたやっぱりちゃらんぽらんですね。」 にこにこと軽くいなしていると、凄く軽蔑した目で皐月君には見られた。 やっぱり皐月君との信頼関係は一夜にしては成り立ちませんね。
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