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そこからはもうカオスだった。
写真部は俺の上裸写真を撮ったまま走り出し、それを風紀委員がとっ捕まえに走り。訳が分からなくなった体育教師は生徒を鎮めようと怒鳴り散らし。にゃんこ系男の子は「ぎゃぁぁあ!ヌード!会計様のヌード!」と脱いでいないのに大騒ぎをして、皐月くんはそれとなくシャワーを浴びて着替えようと退散。何があったのか分からない体育会系達は授業中断に猛抗議を始めた。
俺はというと、ちらっと怒ってるかな?と上目遣いで確認した千廣にため息をつかれ。
千廣のシャツを頭からかぶされていた。
「濡れるよ」
「知ってる」
「怒ってる?」
「これくらいで怒ってたら毎日血管切れてる」
「なんでシャツ?」
「お前が脱いでる方が被害が増えるぞトラブルメーカー」
「背中の龍さんが見えてるよ」
「脅しくらいにはなるだろ。むしろ泳がない理由をまどろっこしく説明しなくてすむ。」
シャツがひと回りでかくて、すっぽり覆われる。騒動を見つつ、俺がため息をつくと。どこから持ってきたのか、キキくんが俺に笛を渡した。
「どしたのこれ?」
「こんなこともあろうかと用意しました。」
「さすが天才児……」
「いいですから早く。このままだと怪我人が出ます。」
深呼吸して笛をくわえると。
全力でピー!!!!と鳴らした。途端全員の動きが静止する。
「はーい皆さん、1回しか言わないから聞けよー!
お・ち・つ・け
君達は高校生。授業中に大騒ぎするのはよろしくないことがわかるかなー?」
『は、はーい』
泉璃はにっこり笑っているが、左には彫り物を背中に背負った男が腕を組んで睨みをきかせ、前にはすごく冷めた顔でじっと生徒達を見ている天才児がいる。
その時の様子を誰かはこう言った。
和風ヤクザ〇PY×FAMILYじゃん……と。
「あと、写真部の皆さん。お話があるので授業後部長さんも連れてお時間作ってくださいね?」
穏やかに有無を言わせないで言い切った泉璃にはヨルさんではなく、姐さんの風格が育っていた。
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