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親衛隊とは。平たく言えば学園の特定の人物のファンクラブである。親衛隊と対象者の関わり方はそれぞれで、距離が近ければ生活のサポートなんかを親衛隊に任せていたり、会長さんに至っては手を出している。まぁそういう対象として使っている人も少なくないのが現状。
主に熱心な支援者、ファン?みたいな見方で俺は見てる。そんな俺の親衛隊長は基本トップシークレットにしている。会合とかで幹部の子達と俺は知ってるけども、親衛隊長ですと声高々に言うことは絶対にない。
だから、緒環先輩にもバレたくは……ないのだが。写真と交換というのなら。背に腹はかえられない。
「絶対に言いふらさないでくださいね!」
「会い解った」
「あと驚かないでくださいね!」
「会い解った」
「写真と交換はちゃんとしてくださいね!」
「勿論会い解っておる」
「失礼な態度とか取らないでくださいね。迷惑をあの人にかけないでください」
「会い解ったが、儂をなんだと思っておるんだ。会計殿」
めちゃくちゃに緊張しながら俺は緒環先輩を連れて、保健室に向かった。
扉に手をかけた時。
「……なぁいいだろ。ちょっとくらい」
「……が!ダメって!八千草…………!」
布ズレの音と、バタバタとした攻防戦の音。
それを聞いてドアノブを握る手が止まる。
「誰に会おうとしてるかわからんが!取り込み中のようだがの?会計殿」
緒環先輩が眉を顰める。
しかし、俺は。
豪快に勢いよく、扉を蹴り破る勢いで保健室のドアを開けた。
そこには。
「誰だよ俺と翡翠の邪魔するやつ」
と睨む八千草麟保健委員長と、
「あっ!泉璃ちゃん!!!!」
と目を輝かせた長髪で細身の白衣姿の男性が、八千草先輩を押しやっていた。
「緒環先輩。この方が俺の親衛隊隊長の、紫眩翡翠先生です。」
俺はにっこりと微笑んだ。
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