六時間目 臨海学校

12/45
前へ
/330ページ
次へ
 親衛隊とは。平たく言えば学園の特定の人物のファンクラブである。親衛隊と対象者の関わり方はそれぞれで、距離が近ければ生活のサポートなんかを親衛隊に任せていたり、会長さんに至っては手を出している。まぁそういう対象として使っている人も少なくないのが現状。 主に熱心な支援者、ファン?みたいな見方で俺は見てる。そんな俺の親衛隊長は基本トップシークレットにしている。会合とかで幹部の子達と俺は知ってるけども、親衛隊長ですと声高々に言うことは絶対にない。 だから、緒環先輩にもバレたくは……ないのだが。写真と交換というのなら。背に腹はかえられない。 「絶対に言いふらさないでくださいね!」 「会い解った」 「あと驚かないでくださいね!」 「会い解った」 「写真と交換はちゃんとしてくださいね!」 「勿論会い解っておる」 「失礼な態度とか取らないでくださいね。迷惑をあの人にかけないでください」 「会い解ったが、儂をなんだと思っておるんだ。会計殿」 めちゃくちゃに緊張しながら俺は緒環先輩を連れて、保健室に向かった。 扉に手をかけた時。 「……なぁいいだろ。ちょっとくらい」 「……が!ダメって!八千草…………!」 布ズレの音と、バタバタとした攻防戦の音。 それを聞いてドアノブを握る手が止まる。 「誰に会おうとしてるかわからんが!取り込み中のようだがの?会計殿」 緒環先輩が眉を顰める。 しかし、俺は。 豪快に勢いよく、扉を蹴り破る勢いで保健室のドアを開けた。 そこには。 「誰だよ俺と翡翠の邪魔するやつ」 と睨む八千草麟保健委員長と、 「あっ!泉璃ちゃん!!!!」 と目を輝かせた長髪で細身の白衣姿の男性が、八千草先輩を押しやっていた。 「緒環先輩。この方が俺の親衛隊隊長の、紫眩翡翠先生です。」 俺はにっこりと微笑んだ。
/330ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3467人が本棚に入れています
本棚に追加