二時間目 転入生事変

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 朝の空気を吸い込みながら、てくてくと教室塔に進む。教室塔にいる生徒会担当の先生に朝のうちにに話しておこうと思ったのだ。気分転換にもなるし、日中動くよりも空いていて楽だろう。 ざっと周りを見渡しても人っ子一人合わない学校というのも珍しいものだ。お坊ちゃま達は今はベットの中だろう。まあ絡まれないのでそれでいいんだけど。 「おっと朝帰りかい会計クン」 絡まれた。それもさらっとじゃない。スライムよろしくネッチョリと絡まれた。不愉快を噛み殺して、声のする方を振り返れば、つやつやとした薄い水色の長い髪の毛をバサバサとしならせて、これでもかと制服のシャツの胸元を広げだるそうに佇む……美形(男)。 「それは貴方のことでしょう?今朝までどこにお泊りだったんですかね保健委員長さん。」 俺の言葉は最後まで皮肉たっぷり!にっこりと微笑んで見せると鼻で笑われた。 「いいんちょお……ねえ。ちょっと前みたいに(りん)さんって呼んでもいーんだぜ?」 「。自分が暇だからって俺に絡まなくてもいいんですよ?」 すると保健委員長こと、3年の八千草(やちぐさ)(りん)はだるそうな笑みから、ゆったりと余裕のある口角を上げるだけでない笑い方でこちらを見た。猫の毛のように若干かかったパーマの髪はその主のご機嫌通り楽しげに揺れている。 「いつのまに生徒会の副会長クンよろしく真面目になったんだよ。同族嫌悪ってやつかあ?」 hey!兄妹。この人ってどんな人という質問があるならくれてやるぜアンサー! ご覧の通りこの人はあっちの方面がかなりゆるゆるだ。 あっちの意味がわかんないオトモダチはそうだな、身近にいるチャラめの先輩に聞いてみるといい。身の安全は保証できかねるけどな。 ともかくゆるっゆるな先輩の貞操感は溶けた生クリームによろしく。夜の相手を探して飛び回る蝶(男)でその被害件数は数しれず。この学校で色恋沙汰に三角関係ができちまうことを具象化した人だ。しかし、顔がとんでもなく色っぽいらしい?ので保健委員長就任。自分用ベットを保健室にお持ちとの噂。 この人は俺になんだか興味があるようでしてね。主に……いや、やめよう。なんか寒気と悪寒と目眩と腹痛がするんだ。そんな八千草先輩は仕事こそするんだけど……なんでこの人委員長なんだろう。まったくこの学校の制度わからないよい。 そんな八千草先輩(男)はそのけだるげな空気のまま、甘い香りを纏わせて近寄って……蠱惑的に微笑んだ。
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