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「……誰もみていやしないだろ。俺たち以外にはな。」
囁く唇はすぐ耳のそばで。吐息がかかるほど近づかれたので、思わず後ずさりかける。一般の生徒であればイチコロなんだろうが。
反応を出したらこの人の思う壺だ。むしろしらんだ顔で見ると、クシャっと笑ってから保健委員長はだらっと言葉を吐いた。
「どーせお前も同じ穴のタヌタヌだろ。今年の一年は騒がしいけど体格はいいからまあ、遊びには悪くねーよな。」
「……同意を求められてますかね?俺。」
「ただ躾がなってねえから、一回だけ抱かせた程度で恋人ズラする馬鹿しかいねえ。」
「……聞こえてないのかな?んー色情狂委員長。保健室無断利用委員長。脳内ショッキングピンク委員長。」
「なあ。お前後腐れなさそうでいいな。どっちがいい?」
「なんですか。変態委員長」
「だれが変態だ。」
「よかったやっと聞こえましたか。」
紫がかった青の瞳がやっとこっちを見たので、保健委員長の裏でのあだ名列挙はやめてあげた。まじめに取り合ったって話を聞かないのだ。この人。俺を遊びなれてると見るのは、イメージ戦略としては成功なんだけど思いっきり勘違いされているのもなんだかいたたまれない。
「お遊びはほどほどにしてください保健委員長。風紀にまた外出禁止令だされますよ。じゃ俺、急いでるので失礼しますね。」
時間は有限。さっさと立ち去ろうとすると、保健委員長は目をきゅっと細めた。
「実際どうだ。お前と俺。案外さっぱりした関係築けそうだと思うんだが。」
わおセクハラ。というか俺に話しかけてたのか。勘違いも甚だしいがこんなことは実はパワハラ生徒会長のお陰で予習済みなんだよ。いちいち可愛く顔を赤らめる時期はもうとっくに過ぎた。
「……あなたに、俺を満足させられる訳ないでしょう?」
めんどくさいので関わるなっという気持ちで口角をあげてみせると。
八千草麟は、数秒後最高に楽しげな笑顔を向けた。機嫌が良くなったのか?
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