一時間目 王道学園での俺的処世術

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 あのときのことを思い出して、軽く思考を遠くに飛ばしていると、ポケットの中にあるスマホのバイブで現実世界に思考がカムバックする。スマホの生徒会新役員で構成された無料通信アプリのグループを開く。  そこには、俺的に要注意人物1の「生徒会長様」からのご連絡が。 ―生徒会室に来い。 いやさ、WhyとかWhenとかが全て抜けてる文章ってなによ?でもそれが許される。俺様?何様?生徒会長様クオリティーだ。ため息を付きつつ、気だるい返事と、緩めのワンコちゃんスタンプを返信する。 生徒会メンバーはいつ何時であろうが集合がかかれば行かなくちゃいけないし、仕事はかなりハードだ。まあ、会計としての仕事は慣れたものだし、計算とか試算とかは得意だからそこまで負担でもないのだけれど。 学校運営に関しては楽……とは言えない。この学校の生徒会は教師よりも一部特権として上であることが多々ある。生徒の自主性を重視しすぎじゃね?と思うのはどうやら公立出身の俺含む超少人数のようで、教師の進退にも口出せる権力に俺はガッタブルブルだ。イメージはちっちゃいパピヨンで頼む。 そんな権力のショッピングモールみたいな生徒会を纏める生徒会長様が普通の人間で良い訳もなく。世界に名前轟かせちゃってる系の大企業、葦矢グループとは耳馴染みがあるだろう。その御曹司様が生徒会長様 葦矢(あしや)高己(たかみ)だ。俺にとっては入学して最初に最悪な世界を教えてくれたある意味『恩人』だ。いたいけな俺(高1)に「いきなりス○ーキ」ならぬ「いきなりキス」をかまそうとした相手ということは伏せておこう。 ―5分後駆けつけた生徒会室には、俺以外の残り全員が揃っていた。生徒会役員って暇人の集合体かよ?と思ったのは顔にはださない。あくまでも、一番遅かったのは俺だ。 「遅かったな。一体何をしていたのか。呼び出されたらすぐ来い。」 生徒会長の椅子にどっかりと腰をおろし、黒髪に赤みがかった瞳を輝かしたのがさっき紹介した三年生、葦矢高巳(あしやたかみ)。ご覧の通り言うまでもなく俺様で、男も女も受け入れちゃうタイプの危険人物。 「せんりちゃんはー」「忙しかったんでしょー?」 『僕らも遅かったから気にしなくていいよー』 キラキラと笑うのが同級生で二年の生徒会総務の二人。ダークブルーのセミロングの髪でちょっぴり背が高いのが兄の湯灯(ゆとう)由真(ゆま)。ミルクブルーの髪を背中の半分まで伸ばしているのが弟の湯灯(ゆとう)旋真(せま)。顔と声は本当によく似ていて、俺の姉さん三人衆は個性豊かすぎたので双子で言動も似るというのはすこし驚きだ。二人だと、面白いと思う方向に突っ込んでいくので、一応危険な二人。 「……せん、りー。」 小さな声でそれだけ呟いたのは、甘茶色の髪の大柄な青年。俺ですら見上げるほど大きくて、肩幅もすごいが、言動はおとなしく平和主義。体は大きくても中身が子犬わんわん。それが生徒会書紀で三年の綯風(なうかぜ)鹿(ろく)。誰に対しても優しく、立ったまま寝れるタイプのわんわんなので、俺は少しばかり多めに気を使って、愛でている。だってこの生徒会で唯一危険人物じゃないんだもん。 「あれ?サツキは?」 「いるだろ、そこ。」 会長様に指さされて、そちらを見ると試合に負けたボクサーみたいな感じでソファーに座る副会長くんがいた。
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