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副会長くんこと同級生の風見皐月は、いつもは俺に
「不潔ですっ。この節操なしがっ!」みたいな目を向けてくる。慇懃無礼な敬語と態度で若干ツンが鋭い彼、あれ?俺、嫌われ?って感じである。
残念ながら、俺は不潔ではなく悲しいほどきれいな体なので、勘違いで嫌われちゃっていたりする。ぴえん。俺、できれば同級生だし仲良くしたいのに。
「サツキー?サーツキちゃーんー!」
「あ、なんだ。センリですか。」
「そこはハーアーイーって返してよ。」
ユサユサと体を揺さぶってみると、はっとした表情をしていた。うーん。あの有名アニメ映画をご存じないか。ただ、いつもはしゃっきりして気を張っている彼が、ぼおっとしているのは珍しかった。
「どしたの?珍しいね。おつかれ?」
「いえ、別に疲れてはいないのですが…転入生の相手をしましてね?その時に見破られたんですよ!私の作り笑いを!!」
「へーすごいねー」
「反応薄くありません?」
おっとと。興味ナッシングなのがバレてしまっているじゃないか。話を聞くと、入学式の一週間後に来た転入生。なんで一緒に入学できなかったの?と思うが、まあ事情があるらしい。そして、その転入生くんは皐月に会うやいなや、「作り笑いなんか貼り付けんなよ!」と言い放ったらしい。
いやね、皐月の笑顔、普通に作り笑いだからね?ビジネススマイルくらい誰だってするだろ?それに素で初対面でニヤニヤされてみ?気色悪いだろ。
……もしかして皐月、ビジネススマイル誰にもバレていないと思ってたのだろうか。いや、まさかねえ。
「どんな子なの。その転入生くん。あ、今日はアッサムね。」
「ありがとうございます。なにかカチャカチャしてると思ったら、紅茶をいれてくれてたんですか。」
「考え事にはカフェインでしょ。会長さんは温度低め、鹿くんは砂糖3っつ、セマはジャムで、ユマはストレートでしょ?どーぞ。」
ふふん。紅茶をいれるのは俺の特技である。今日はなかなかうまく淹れれたので満足だ。
「わーい!センリの紅茶美味しいからセマ好きー」「ユマも好きー」
「……あり、がと。」
「こういう女にモテそうなことだけ器用だな」
うん、1名若干口が悪いが、俺気にしない。ただ、今度しこたまグラブジャムン……世界一甘いお菓子を口の中にぶちこんでやる。一週間はあの甘さは抜けねえからな。
お茶を飲みつつ、双子は顔を合わせてにやりと微笑んだ。
「ねーサツキちゃん。」「僕らさー」『その転入生に会ってみたいなー』
えーなんか嫌な予感がするのは俺だけだったりします?
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