三時間目 新入生歓迎会

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 レアスタンプは銀のブローチをつける。レアスタンプを捕まえた証拠はその銀のブローチを手に入れること。そのブローチははっきり鴇くんの手のひらの上。 ――間抜けじゃね?俺。 階段についてのからくりがわかって嬉しくなってうっかり命綱ともいえるブローチを易々渡してしまっている。 ――まあ、……いいか。 「捕まっちゃった」 冗談ぽく笑って彼の瞳をみつめて、小首をかしげて見せた。おっと自棄になったわけじゃない。ただうっかりして捕まってしまったものを逃げ出すのもカッコ悪いじゃないか。 ブローチが乗った鴇の手のひらの上に指さすみたいにポンと手を置く。下からのぞき込むと、気持ち彼の顔が赤らんだ。 「俺に、何のお願い叶えてほしい?」 ごくりと彼の喉仏が溜飲する。 「なんでも、いいんですか?」 「俺にできそうなことで……会計辞めろとか学園の校則を超越するみたいな無茶言わなければ基本ね。そういうルールに会長さんがしちゃったからさ。」 これでなんか6億円のタピオカ買ってこいとか、青い彼岸花もってこいとか言われたらどうしよう。叶えられませんでしたとか言いたくないが限度がある。奢ってくださいと言われた場合は自力で稼いだわずかなバイト代がお釈迦になるだけで済むけども……この学園の規格から考えれば俺にあんまりお金はない。あと、この鴇くんに限ってそんなことはないだろうと信じたいけど、プライベートな……会長さんと親衛隊みたいな関係を迫られるのはごめんだ。俺にだって硬い貞操概念くらいはある。 俯いて答えない鴇くんをそっと伺うと。突然として彼は顔をあげた。 「お願い……なのですが。」 「…………ハイ。」 がちがちに緊張した彼の強張りが移って俺も背筋を伸ばす。細く息を吸った彼はこちらをしっかりと見た。 「僕に先輩のお願いを叶えさせていただけませんか?」
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