休み時間1 コンプレックスは秘めるもの

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「じゃあこれやろーよ」と双子の兄由真が意気揚々と手を広げ、弟の旋真が上に掲げたのは。 「ドキッ隠し事丸見え!?ウソ発見機!! ......なんですこれ。」 皐月くんが訝しげに読み上げたタイトル通り、嘘発見器なる合コンなどで使われるジョークグッズだった。 「どうやるんだこれ」 庶民の遊びをご存知ない会長さんが、そう呟く。皐月くんも興味が出たのか机から出てきて、鹿くんもゆったりと近寄る。ナイス!客寄せパンダ!嘘発見器を褒めながら見守る。 そそくさと由真が会長さんの手を器具にセッティングし、旋真は備え付けの質問用紙を取りだした。 「えーっと、会長はトマトが大好きですか?はいか、いいえで答えて!」 「は?トマト...?別に好きでも嫌いでもない。」 「じゃあ、はいでいいね?」 「おう。」 ジャンジャラジャンジャラと、妙に民族舞踊のような音楽が流れる。チープな音の割に緊張感が流れ、沈黙が5秒ほどあった後。 ピンポーンと、間の抜けた音。 『会長はトマトが好き!』 「だからそう言っただろうがよ。」 双子の声に対して会長の反応が淡白すぎた。 「おれ、も、トマトすき。」 「会長がトマトが好きでも嫌いでも正直興味無いです。」 「会長さんこれは、嘘を見抜くゲームのようなものなので、間違えると電流が走るんですよ。」 慌てて俺が補足するが、ダメだ。男6人で盛り上がる気配がしない。するとどこからか双子はくじを取りだした。 「さっきのは会長と質問の相性が悪かったんだよ!」 「質問で相手の嘘を引っ張り出せた人を勝ちにしよ!」 『負けた人は、さっきの罰ゲームね!』 あれ。おかしいな。ニコニコと笑う双子が小悪魔に見える。頭によぎった秘密は、1つ俺のコンプレックス......嫌だ!俺は勝たないと。そう決心しくじに全集中した。
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