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「じゃあこれやろーよ」と双子の兄由真が意気揚々と手を広げ、弟の旋真が上に掲げたのは。
「ドキッ隠し事丸見え!?ウソ発見機!!
......なんですこれ。」
皐月くんが訝しげに読み上げたタイトル通り、嘘発見器なる合コンなどで使われるジョークグッズだった。
「どうやるんだこれ」
庶民の遊びをご存知ない会長さんが、そう呟く。皐月くんも興味が出たのか机から出てきて、鹿くんもゆったりと近寄る。ナイス!客寄せパンダ!嘘発見器を褒めながら見守る。
そそくさと由真が会長さんの手を器具にセッティングし、旋真は備え付けの質問用紙を取りだした。
「えーっと、会長はトマトが大好きですか?はいか、いいえで答えて!」
「は?トマト...?別に好きでも嫌いでもない。」
「じゃあ、はいでいいね?」
「おう。」
ジャンジャラジャンジャラと、妙に民族舞踊のような音楽が流れる。チープな音の割に緊張感が流れ、沈黙が5秒ほどあった後。
ピンポーンと、間の抜けた音。
『会長はトマトが好き!』
「だからそう言っただろうがよ。」
双子の声に対して会長の反応が淡白すぎた。
「おれ、も、トマトすき。」
「会長がトマトが好きでも嫌いでも正直興味無いです。」
「会長さんこれは、嘘を見抜くゲームのようなものなので、間違えると電流が走るんですよ。」
慌てて俺が補足するが、ダメだ。男6人で盛り上がる気配がしない。するとどこからか双子はくじを取りだした。
「さっきのは会長と質問の相性が悪かったんだよ!」
「質問で相手の嘘を引っ張り出せた人を勝ちにしよ!」
『負けた人は、さっきの罰ゲームね!』
あれ。おかしいな。ニコニコと笑う双子が小悪魔に見える。頭によぎった秘密は、1つ俺のコンプレックス......嫌だ!俺は勝たないと。そう決心しくじに全集中した。
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