休み時間1 コンプレックスは秘めるもの

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2回戦に、皐月くんと目が合う。同級生でありながら生徒会以外では接点が皆無だよ皐月くん。最近は俺を見る目も優しくなった……かなぁ皐月くん。 「嘘なんてついたことない善良な人間です……なんて大嘘はつきませんけどね。泉璃の手近な嘘なんて一つしか思いつかないですよ。」 「一つは思いつくんだ……。」 皐月くんは俺と違うベクトルで何かを隠してるんだろうなぁとは内心思う。それを嘘と呼ぶか、秘密と呼ぶかはまぁそれぞれ。触れるにも触れないにも本人の意思次第。 先攻が俺になったので、機器をつけられて緊張している皐月君をじっくり観察する。抱きたいランキング2位はやはり伊達じゃない。少し猫目の瞳はアーモンド色で地毛であろう髪はさらさらと細くマットな髪色。まじめな印象なのに重苦しくも、ダサいとも感じないのはそのやや小柄な背丈と思春期の肌の凹凸問題などと無関係なさっぱりとした肌の美しさだろう。長い睫毛や桜貝のような爪には品と艶を感じる。彼はきちんと整頓された美術館みたいだと思う。それはやや神経質なまでに。 目が合ってゆったりと微笑むと、皐月くんはぱっと背筋を伸ばしてから思い出したように怪訝そうな顔をした。俺はおもむろに口を開いた。 「皐月くんさ、持ってるよね」 「え…………?」 「購買で売られてる俺の写真」 「いいえ!!!」 ガタンと椅子を揺らして立ち上がった皐月くんだが、その時に機械は激しく動き出し、次の瞬間。 「痛い!これ!なんですか!?」 「噓発見器だよ。たぶん物凄く正確性の高い。」 「……悪趣味な玩具ですね。」 じっとりとした目で、皐月君は嘘発見器を睨む。きっちりと痛かったみたいで、手首を抑えているのを見て心の底から同情した。痛いよねそれ。 「何で写真のこと知ってるんです?」 「買ってるところを偶然見たって言えば驚く?」 「びっくりですよ。あの写真は、その妹にせがまれて。それと……」 「それと?」 「なんでもないですよ。あなたの写真を妹が見て気に入ってから帰省する度に新作が欲しいと言われ続けてましてね。」 生徒会メンバーの写真はモデル側にきっちりモデル料を払えば売り買いが一部で許されている。隠し撮りされるくらいならある程度任意のものを売ってお金になったほうがこちらとしても気分がいいのだ。この学園の外に出すのはセキュリティ上いい顔はされないだろうが身内に見せるくらいは……まあ良しかな。 俺のご飯を食べてるところや、上着や手袋を外すところなんか誰得なんだと思うがコンプリートしながら買っている皐月君の姿はかなり印象に残った。 「次は皐月君の番だよ。」
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