一時間目 王道学園での俺的処世術

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「そいつは生徒会のもの、だろうが。……俺に楯突くつもりか?」 バチリと視線での応酬がされていることに、少し腹が立つ。届かねえんだよその視線の間に!頭の上で揉めるなって! 「まだ、話は終わっていないぞ!!」 あーめんどくさい黒毛玉が増えた!助けて!青色の猫型ロボットーー! 心のなかでどれだけ叫んだって無意味なのは重々承知なので、ため息をついて、二人にこそこそ話を仕掛ける。腕を引っ張ってちょっとかがんでもらいましてっと。 「俺のために争わないでー。」 こんなときは、にこっと笑うのがポイント。冗談ですよアピールのつもりだ。 すると、二人の動きが止まった。 それに連動して、何この静寂。さっきまで歓喜絶叫してたギャラリー達や。どうしたんですかいこの空気。内緒話の方が何話してるかバレないし、なにより目立たないと思ったんだが。 「えと、授業始まるし、ここら辺で解散にしましょうよ。会長。来てくれてありがとな千廣。あと……無理矢理話そうとするのは良くないと思うぜ、転入生。」 この空気から逃れたくて早口でそう告げる。すると、会長がパッと手を離した。 「……興が冷めた。」 「お前な……まあ、この場は収まったからいいか。」 「ぼ、僕は諦めない!!絶対友達になってやる!」 三者三様の反応を返されたが、取り敢えず収まったらしい。うん。結果オーライかな。 「放課後!僕はお前に会いに行くからな!!逃げんなよ!!」 結果オーライじゃなかった。こいつ、しつこい(確信)いい加減大声は控えてほしい。鼓膜破りたくないんですよ。 「煩えな。黙れ。」 「オマエは関係ないだ――ムグッ」 無理やり黒毛玉の顎を掴んで、会長さんが口を塞いだ。物理的に。 えっぐいぐらいの沈黙。今ならネズミの移動音ですら聞こえそうだ。この学園ネズミいないけど。 ohそれっていわゆるキッスですかね。目の前の光景が信じられないです俺。 「い、いきなりなにしやがんだ!!?」 今だけは少し黒毛玉に同情する。やっと開放された毛玉は、動揺していた。 同情・動揺・どうしょう。うん。韻が踏めた。 「黙らせただけだが?食堂では静かにしろ転入生。」 その三秒後、食堂は絶叫の渦に巻き込まれた。 その声の圧で耳の鼓膜まじで千切り取れるかと。耳塞いどきたかったな。
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