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この声のおかげで、男性だと間違えられることが多くなったからだ。
「同じく私立怜泉学院高校から来ました。猪瀬双葉です。よろしくお願いします」
「あの…」
1人の女子生徒が手を挙げて、質問してきた。
「あの、初めまして。薙下清枝といいます。由弦さんって…男性ですか?」
「………」
言われると思ったが、ショックは大きい。
「由弦は、れっきとした女性です。能力のせいで声が低いですが。これでも、結構可愛いところあるんですよ。な?」
双葉とは、恋人通り越して婚約者だ。そして、異端の退魔師である由弦の管理者でもある。
帽子を浅く被っていたが、深く被る。
赤らめた顔を隠す。
「みんなー!ただいま!」
都麦は、両手を大きく広げて、ただいまアピール。
「はいはい、おかえり」
「ちょっと酷くない?せっかく帰ってきたのに〜」
「また、試験で落ちるんだろ?」
クラス中に笑いが絶えない。
多分、都麦がいるからか。クラス内が一気に明るくなった。
休み時間や放課後は、クラスメイトたちから質問攻めを受けた。だけど、不思議と嫌な感じはなかった。
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