コップ半分の水

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幸い、わたしが考えすぎたり極度のネガティブだというのは、近い関係の人達には認知されていて、仲間内ではネタ扱いされることもあったりした。 そのおかげで、学生時代には、特に大きく困ることもなかった。 友人には恵まれていたのだ。 けれど、大学を卒業後、就職してからは、さすがにこのままではダメだと思うようにもなっていった。 もともと、ネガティブで社交性にも乏しいけれど、意外と人見知りというわけではなく、用があったり必要と判断した場合は、こちらから話しかけることも多かった。 そういう時は、考えすぎてしまう悪い癖が、不思議としぼんでいったのだ。 だから、その気になれば、この厄介で面倒な性格もどうにかできるんじゃないかと思った。 ただ、必要以上に心配して、不必要に考えすぎてしまうのを、どうにか抑えられたら………。 ………それが簡単にできないから悩んでいるのだけど。 ともかく、こんな自分をどうにか変えたい、そう思いながら迎えた社会人一年生も終わりかけのある日、地下鉄で。 わたしは、ちょっと頑張ってみたのだ。
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