2話 訳アリな共同生活は突然に!

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2話 訳アリな共同生活は突然に!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  だが、思いのほか初日の在校中に目立ったイベントなど起こる事も無く、グレセットと言う校内の礼拝堂で淡々と始業式が行われ、それが終わり次第クラスで教科書が配布されただけで解散となった。 あ、少し訂正する事がある。  先程は何もイベントが無かったと言ったが、強いて言うなら少々困った事はあった。  俺は無神論者な上に、キリスト教系列の学校に入学した事が初めてだった為ので、賛美歌集や聖書を持っていなかったのだ。 その為に始業式の最中に進められる行事の50%は理解出来なかったし、この上無く胡散臭いとも思った。  ただ……本当のとんでもない事件は、間もなくして俺の前に現れる事になる。 「山瀬君に追加で渡す物が有るから、放課後職員室まで来てちょうだいね~」 「何ですか?それって」 「来たら分かるわよっ♪それと、四夜ちゃんにも同じ話しが有るから、四夜ちゃんと一緒に来るように!お願いねっ」 「えぇ!?ちょっと…何ですかそれ」 いやいや、いきなり過ぎるだろ。  さっきガンを付けられたばかりなのに!  開口一番に塩分100%の塩辛い言葉を返された俺としてはゾッとしないね。  是非ともそんなdisコミュニケーションはお断りさせて頂きたかったが、担任の浅倉先生は「サラバじゃ~」と言葉を残して俺の前から早々に立ち去ってしまった。 「まじか…。あの四夜さんに話しかけるのか」  途方に暮れる俺はとぼとぼとクラスへ戻るしか無かった。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「その……あれだ。さっきは悪かったな」 「何が?てか…あんた誰よ」 「四夜さんの前の席の山瀬だ……。もう忘れたってか?さっきあれだけ俺の事をバカ呼ばわりしてきた癖にもう忘れるとかお前の頭脳も大概だな」 「あ~思い出したわ。私の事ジロジロ眺めて来た男ね。私って興味ない人間の事を覚えるのが苦味なのよね」 「なん……だと……」  俺は眉間のシワがドンドン深くなっていくのを気合いで何とか抑え、作り笑いを浮かべる。 「その節は悪かった事にしよう。その上で本題に入りたいんだが」 「顔が気持ち悪い。鬼の顔が腐り落ちた様な見た目になってるわよ」 ↓3分後 「何であんた何かと一緒に行かなきゃいけないのよ」 四夜は俺を軽く睨む。 「知らねぇよ。文句が有るなら浅倉先生に言うんだな」  四夜はかったるそうにスカートのポケットから手を出すと、その長い後ろ髪を弄りだす。 「あんた礼拝の時の頌栄、口パクだったからその事で呼び出されたんじゃないの?」  それは事実だが、俺だって座席がちょうど真横だったから知っている。  四夜は始業式の時間のほとんどを涎を滴ながら気持ち良さそうに眠っていやがったのだ。 「んだと………それを言ったら四夜、お前も始業式の最中ほとんど居眠りしてたじゃないか」  四夜は急に顔を赤くすると、まるで人を殺す様な目付きで俺を睨んで来る。  こいつは完全に殺る目付きだよ…ほんと。 「いつ…私の名前を呼び捨てで呼んで良いと言った。様を付けなさいよ、バカ」 「ば…バカだと!お前見たいなロリっ子にわざわざ様何かつけるかよ」 「何よその『ロリ』って言う良く分かんない単語。何だか無性に腹立たしい響きだわ」 「『ロリ』って言うのは、タイニーな奴の事を指す総称だよ。てかお前…そんな事も知らないって……痛っ!?痛い痛い痛い!?腹にアッパー極めて来んな!」 「何よ!初対面の人のことを、いきなりチビだとか言って来やがって!このっ!このっ!あんた何か背が高いだけが取り柄の癖にっ!」  初対面でいきなり人の事をバカ呼ばわりする四夜には言われたく無い。 が、しかし…やっぱりそうだったか。  背の高さが利点だと思っているのなら四夜のそれはコンプレックスだと言う事だな、と言ってやったら 「だってあんた、府抜けた顔してるし、猫背だし、バカだし」 と言い返された。  おい、だからバカは何処から来た。根拠を示しやがれ。 「それよりもう職員室に着いたぞ。何時まで俺の背中にパンチしてるんだ。」  四夜 一期は小さい割りに力が強いらしく、背中でも殴られると意外に痛かったりする。 「俺のスベスベお肌に傷が着くだろ。どう責任とってくれる」 「は?何よそれ。ボーボーに背中毛の生え散らかったゴリラの間違いじゃないの?」 クっ……このロリっ子!  いちいち言う事が俺のデリケートな部分に刺さってムカつくんだよ。 「さっさと開けなさいよ、バカ。職員室に入れないでしょ」 「ノックを忘れてるぞ、ノックを。あといちいち語尾にバカをつけるな」 あーくそっ、仕方がねぇ。  諦めが濃厚な気分でノックをし、そろりそろりと引き戸を開ける。 「2年2組の山瀬 涼太です。担任の浅倉先生はいらっしゃいますか?」  やけに静かな職員室の向こうから大手を振って飛んでくる女性が一人。  浅倉先生を見てるとこっちが疲れて来そうだ。 「良ぉく来た!勇者達よ!」 「先生、FFのやり過ぎじゃないんですか?」 「そんな事は良いのだよ山瀬君!それに四夜ちゃんも良く来た!」 「……」 おい、ロリっ子。  ドン引きしてしまう気持ちも分かるが、せめてうんとかすんとか言おうな! 「君達には渡す物が有るのだよ!これを取りたまえ!」  そう言って浅倉先生がポケットから取り出したのは、小さな銀色の物体。  四夜は不思議そうにそれを眺めると呟く。 「何よ…これ。鍵?203って書いてある」 そう、鍵だ。  だが、これが一体何処の鍵なのか……俺にはさっぱり見当もつかん。 「決まっておろう!部活に入るまで、今日から君達に暮らして貰う、部活寮の空き部屋の鍵だよ」 は… …………………え? 「「えぇーーーーーーーー!?」」 「仲良く暮らしたまえ!若き同居者達よ」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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