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3話 年数単位の時差は突然に!
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ガタンッ……ガタンッゴトン………
私立 学園都市大学 付属高校の敷地はとてつもなく広大だ。
何と学校の敷地内に都営 四田線だって走っている。
東京の中心地からは少しは外れているが、その所有面積は余りにも広大で、中学校から大学までその敷地内部に全てすっぽり収まっているのだ。
俺達が暮らす事になった部活寮も当然この敷地内部にいくつも有る。
だが、俺達が向かっている203号室とやらは、その中でも一番端の最上階に位置し、常に真横を電車が走り抜けていると言う、とんでも無い不良物件である。
最上階と言っても2階立てだが。
「あぁ~あ」
言われた通りに来てしまった。
本当に203号室だよね、ここ。
「何よ、そのため息。文句あるの?バカ」
当然だ。有るに決まっているだろうよ!
確かに四夜の顔は良い。スタイルだって悪くない。
だが共同生活を送るには、性格に些か難が有りすぎだ。
「なら四夜は文句無いのかよ?」
「バカ!何を笑止千万な事言ってる訳?色々と文句有るに決まってるじゃない。このバカ!」
「会話の頭と尻でいちいちバカバカ言うんじゃありません!」
バカって言う方がバカ何です~と言ってやりたい気分ではあるが、そう言って仕舞えば自分までバカになると気が付いたのは小学生のいつ頃だっただろうか?
あ~今すぐこのふざけた状況をツイッターにでも愚痴りたい。
と、思わずいつもの癖でズボンのポケットに右手を突っ込んだ所で、ふと思い出す。
「今は………1994年か…」
当然、こんな大昔にツイッター何て有りはしないし、そのそもスマホがまだ世に出て来ていない。
いや、ツイッターはあるかも知れないが、そんな事は俺には分からん!
何て言ったって……俺は、この時代の人間では無いのだから。
「ソ連ってまだ存在したっけ?」
「あんた何を変な事言ってるのよ。3年前に崩壊したじゃない」
と、まぁこんな感じでさっぱりだ。
がしかし、ソ連の崩壊は1991年だったとするとバブルも既に崩壊してるな。
ちぇっ、この野郎!
せっかく平成の初期にタイムスリップしてきたんだから……少しはパリピを満喫してみたかったんだが、残念だ。
「そんな事より荷物を部屋に運び入れるの手伝いなさいよ!先生の分だってあるのよ!」
そう!あの浅倉とか言う頭脳残念系女性教師は、一緒に同居するとかほざいていたのだ。
『まさか~教師の監督無しで、高校2年の男女を同じ屋根の下に寝かせるとでも思ったのかい?ハッハッハ~若いねぇ諸君!そんな事を学校が許す筈も無かろうて!』
そしてまた、こうも言っていた。
『もし、コウノトリが飛んで来たら山瀬君はどうする積もりだったのかな?若気の至りってのは、油断している男女こそ陥り易い物なのです!と、言う訳で…先生の荷物もそこに有るから宜しく頼むわよ♪』
ざっけんな!荷物運びたく無いだけだろ!
……て言うか若気の至り何て起きねぇし。
そんな非現実的かつ小説やマンガの様な出来事はもうお腹いっぱいだ。
起きる訳がねぇ………
「早く運んでよね!バカ!」
「はいはい」
窓から射す太陽の光だけが、ほんのりと薄暗いリビングで腰に両手を当ててご立腹の四夜 一期を照らす。
無駄に可愛い四夜を見ていたら、少しくらい……間違いが起きても良いんじゃないか?
と、思ってしまう情けない俺が居たのは、不本意ながらも事実だった。
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