アイスクリームの日

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 カチコチと秒針の音とピコピコという電子音が空気を充たす空間で、鼻をすすりながらも嬉々としてそう言葉を落とすあなたは、それでもソファに座りゲーム機を見つめ続ける俺の頭をポカリと叩く。奇しくも、敵がマイキャラを攻撃したのと同じタイミングで。 「痛って」 「人の話くらいちゃんと聞きなさいよー!」 「聞いてるって、何、アイスクリームの日?」  すん、と鼻を鳴らしながら、威嚇している猫のような眼差しでこちらを睨むので、仕方なく手元のゲーム機を操作し、ポーズ状態にした。画面の中のいやにカラフルなキャラクターは、このお姫様の機嫌が直るまで、時が止まったままだ。  電子音が止まり、ソファの上のクッションへ移動しようとする俺の腕の隙間にするりと身体を滑り込ませたあなたは、さっきまでの目が嘘のように、にっこりと笑って俺の肩に頭をもたれさせる。  行き場のなくなった俺の腕は、中途半端な所で停止。まるで、ゲームの中のキャラクター。 「猫かよ」 「何?」 「何でもない、……んで、アイスクリームの日?」  小さなその肩に腕を回そうとしながら、そう問いかければ、あなたはくすりと笑って本当に嬉しそうに頷く。 「そう! ねぇ、コンビニ行こ? プチデート!」 「えー寒いじゃん、雨も降ってるし。しかも冷凍庫にアイスあるじゃん」 「……馬鹿。違うのが食べたいんだってば、ケチ」
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