モテ女の美人妻がフツーの僕を選んだ理由

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モテ女の美人妻がフツーの僕を選んだ理由

 恋多き女。  そんな異名を持つ僕の美人妻。  イケメンや大金持ち、あらゆる男と()()を流し、口説(くど)き・口説(くど)かれ、()()(みどり)。誰もが(うらや)むモテ女。所謂(いわゆる)、セレブな、ハイソな人と、結婚するのも出来たはず。  なのに、なぜだか、フツーの僕が、結婚相手に選ばれたッ!  僕は、別にイケメンでもないし、頭がいいわけでもない。金持ちでもなければ、稼ぐ能力に()けているわけでもない。一応、マジメにゃ生きてはいるが、特別、立派なわけでもない。  結婚以来、ずっと、そのことが気になっていた。  そんなことを考えていたら、昨晩は、あまり眠れなかった……Zzz。  浮かない顔をしながら、リビングで、朝食を食べていると、 「あなた、どうしたの? 何か、元気ないわね~」  と、テーブルの向かいに座っている妻が(たず)ねて来た。 「あまりよく眠れなかったもんで……」 「このところ、お仕事忙しそうだったもんね。疲れが()まってるのね」 「う~ん……、まぁ、それもあるんだけど~……」 「えっ? どうしたの? どこか、身体の具合でも悪いの?」 「いやいや、そういうことはないんだけど~……」 「それとも、何か、悩み事でもあるの?」  妻が心配するので、今朝は、思い切って、気になることを聞いてみることにした。 「何で~……、僕を選んでくれたの?」 「えっ?」 「だから~ッ、何で、僕と結婚してくれたの?」 「え~、朝から、何よ、もう~♪ 照れるじゃな~い♪ あなたを選んだ理由?」 「そう、僕を選んでくれた理由」 「えーーーッッッ、いつも言ってるじゃな~~~い! あなた、優しい人だもの♪」 「いや、まぁ、そう言われるのはうれしいんだけど……」 「ほんとよ♪ ほんとに、私、そう思ってるわよ♪」 「ありがとう。……でも、それ+(プラス)、ほんとの理由……、あるんでしょ? 聞かせてよッ!」 「えーーーッッッ!!! そんなこと言うの、恥ずかしいわよ~~~ッッッ!!!」  ……って、やっぱ、他の理由があるんだッ?! 「言うの恥ずかしかったら、じゃあ~、このメモにでも書いてよ」 「う、うん……」  僕が、テーブルの上にあったメモとボールペンを渡すと、妻は、ほんのり、顔を赤らめながら、恥ずかしそうに書いてくれた。 「はい、どうぞ!」  妻が、僕にメモを手渡すと、そこには、何とッ! 信じられないようなことが書かれていたのだッ! 「えーーーッッッ!!!」  そこには、一言(ひとこと)、 『金目的(かねもくてき)』  と、書かれていたのだッ! 「か、か……、金目的(かねもくてき)って言われてもさ~、僕自身、全然金持ちじゃないし、金持ちになる能力もないし、ましてや、先祖代々の莫大(ばくだい)な遺産があるわけでもないんだよ。それは、分かってたんでしょ?」 「分かってたわよ。分かってたけど、単に『金目的(かねもくてき)』だったら、(ほか)の大金持ちの男と結婚してたでしょうね」 「だよね……。えっ? ……ってことは~、もしかして、僕に、莫大な保険金でも掛けられたりしていて~……」 「……って、ちょっとちょっと待ってよ、もう~ッ! そんな刑事ドラマみたいな物騒(ぶっそう)なこと言わないでよ~ッ!」 「ごめんごめん」 「だから~、私の場合は、『金目的(かねもくてき)』じゃなくて、『金目的(きんもくてき)』なの♪」 「はっ?! 『金目的(きんもくてき)』って言われても~、僕も先祖代々もだけど、『(きん)()(ぼう)』なんて、一つも持ってないよ!」 「だから、『金の延べ棒』の『(きん)』じゃなくて、『タマ○ン』の『キン』♪」 「はっ?!」  僕は、妻の言っている意味が、全く分からなかった。 「だから、私~、『タマ○ン』大好き『タ○キン』マニアなのよ♪」 「『○マキン』大好き『タマキ○』マニアッ?!」 「そうッ! だから、私~ッ! あなたの『タ○キン』に恋しちゃったのよ♪」 「『(ぼう)』の方じゃなくて、『(たま)』の方ッ?!」 「そッ! あなたと付き合う前、たまたま、あなたが短パンを()いて、車を洗っているところを見かけたのよ」 「はぁ~」 「で、そのとき、あなたが車の下を(のぞ)こうと、たまたま、しゃがんだときがあったのよね」 「ほぉ」 「で、そのとき、たまたま、『タマタマ』が、『コンニチハッ!』って、見えちゃったのよ♪」 「所謂(いわゆる)、『横キン』?」 「そだね~♪ で、そのとき、『タマ○ン』大好き『タ○キン』マニアの私としては、あなたの可愛い『横キン』に、一目惚れしちゃったってわけ♪」  へぇ~~~ッッッ、たまたま見えちゃったタマタマに、一目惚れしてくれただなんて、へぇ~~~ッッッ、そんなことってあるんだね~。世の中、男と女って、何が幸いするか、分からないもんなんだね~。  たまたま、タマタマ、サマサマだッ! 「ちなみにさ~」 「なぁに?」 「君たち、いつも仲良し三人組で、よく出掛けたりするじゃん」 「そだね~」 「彼女たちは?」 「もちろん、あの二人も『タ○キン』マニアだよ♪」 「『タマキ○』マニアッ!」 「そうッ! だから、私たち『タ○キントリオ』って言われてるの♪ ハッハッハ♪」  妻の、知られざる、変態チックな趣味嗜好(しゅみしこう)を聞かされ、かなり、ビックリもしたが、心のモヤモヤは、晴れたッ! 「さっ、あなた、早く行かないと、会社、遅刻するわよ!」 「(おっと)なだけに、おっといけねぇ~! ご馳走さま~! 行って来ま~す!」 「あ、あなた、お弁当お弁当~ッ!」 「あ、ゴメンゴメン! ありがとう! 行って来ま~す!」 「はい、行ってらっしゃ~い♪」  昼休み。  愛妻弁当を開けると、稲荷寿司(いなりずし)が、(むっ)つ。 「お稲荷さんが、六つ。タ○キンに換算すると、三人ってことだな~……って、『タマキ○トリオ』ってことなんか~いッ♪」  何だか、股間がむず(がゆ)い……。  よ~し、今夜も妻と、夜の大運動会だZZZ(ゼーーー)ッッッ♪♪♪
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