ある保育士の記録

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 今日から念願の保育士生活。 いい先生になれるように頑張るぞ! 5日目 けんじくんと、みきちゃんが、ぬいぐるみの取り合い...。 「おれの~!」  「やだ!わたしがさきにとったの!」 ぬいぐるみならまだあるのに。 って、取り合いやめさせなきゃ! 10日目 「ボールわたしの!」    「あたしのだよ~。」 泣きそうにながらボールを掴むみよちゃんとれいちゃん。  「ボールならいっぱいあるよー?」 「やだ!これがいいの!」 何とかやめさせたけど、なんでこんなに取り合いが多いの? 18日目 「くれよんはおれの!」  「ぼくのー!」 今度はようすけくんとたいちくんが...。  こんなに取り合いが多いのは、もしかして...。   22日目 園長先生に話してみた。 「あの、もしかして...」 「ああ。そうだけど?」 やっぱり。 「それですよ。子供たちの取り合いの原因。」 「...なるほど。そういう事か!」 23日目  今日も園内の各所で、取り合いが起きている。 「宅配便ですー。」 来た...!  「みんなー!こっち見て!」 物をつかんで引っ張ている子供たちの手が、ピタリと止まる。  そして、いま受け取った箱をみんなに見せる。 ...大きい。あと重い。 「何が入ってると思う?」 笑顔で聞いてみる。 「えー?なになに~?」 子供たちが私に聞く。よし。今だ。 「正解はー…」 箱を開く。すると…。 「あ!クマのぬいぐるみ!」「あおのボール!」「きりんさんのくれよん!」 ...そう。子供たちの取り合いが相次いだのは、【同じ物が無い】から。 「霧島先生、よく分かりましたね。同じぬいぐるみでも、クマのぬいぐるみは 一つしかなかった。ボールも、赤や黄色はあったが、青いボールは一個だけ。 クレヨンなんかケースの絵がキリンかどうかなんて…。」   100日目 「きりしませんせー!」 「あそぼー!」 いまは、この幼稚園内で、取り合いの喧嘩は滅多に起こらない。 幸せな保育士生活が今日も始まる。
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