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【7月14日】朝シャワー
早く起きたのでシャワーを浴びた。
朝にシャワーを浴びる習慣がないので、なんとなく新鮮な感じがした。
髪を洗い、身体を洗い、バスタオルで身体を拭く。
まだ早朝なので、ご近所さんや、なによりベッドで寝ている佳奈子に気を遣って、ドライヤーは使わない。乾いたタオルでよく水気をふき取ってから、コップ一杯の水を飲んで、ベッドに腰かけた。
佳奈子はまだ眠っている。
小さくて白い顔。かわいい寝顔。わたしは彼女の頬を、指でそっと撫でた。
時計を見ると朝の5時前だ。どうしてこんな時間に目が覚めてしまったんだろう。
「んん~」
佳奈子がベッドの中で身をよじった。
わたしのほうへ身をもじもじとよせると、わたしの膝の上に顔を乗せた。
「いいにおい~……」
寝ぼけているのだ。
そのまま佳奈子は動かなくなってしまったので、わたしはしばらくそのままでいる羽目になった。適当にスマホをいじったり、読書をしたり……そうしている間じゅう、佳奈子はわたしのことをひしと腕で掴んで離さなかった。
「そんなにホールドしなくても、どこにも行かないよ」
「うそ……」
「うそじゃないよ〜」
「だって、起きたらどこにもいなかったもん」
「昨日、シャワー浴びる前に寝ちゃったから……」
「ふふ」
佳奈子はもうほとんど起きていたけれど、まだ目はとろんとしていた。わたしが体をベッドの方に向けると、お腹に抱きついて甘える子どものようにうなった。
「いい匂いがする」
「ボディソープの香りだよ」
「それも、梨香の匂いだよ」
「ふふ。さ、そろそろ起きよう、学校に遅刻しちゃうよ」
「やだ〜。もっと一緒に寝るの」
「もう。じゃ、5分だけだよ」
わたしはまたベッドに横になった。
佳奈子と全身いっぱいにくっついた。佳奈子の体はぽかぽかして、あたたかかった。
「梨香の体、あたたかい」
「さっきシャワー浴びたからね……」
「ぎゅ。大好き、あたたかい梨香」
「わたしも〜」
このまま、ふたりが冷たくなるまで、いっしょに、いられたらいいのにな。
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