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お城とお姫様
「僕の!」
「僕が読むんだもの!」
大樹は三年生。良樹は一年生。仲の良い兄弟だが喧嘩も絶えない。一冊の絵本を左右で引っ張り取り合う二人。日曜日には、いつもの光景だ。父や母はそんな喧嘩がはじまったときは、なら一緒に読もうかと少し前までは一緒に読ませることで解決してきた。
だが最近はそうではない。一冊絵本を買ってくれば常に喧嘩。大樹も良樹も一人でゆっくり読みたいのだ。このままでは絵本が破けてしまうと思った父は一つの提案を二人に出した。
「いっそのこと、そんなに絵本が好きなら作ってみないか?」
「作る?」
父の言葉に二人の喧嘩は止まる。父はもう後に退けないなと覚悟を決めた。
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